透明導電膜 [半導体材料]
ただのガラス板...に見えますが、透明導電膜が積んである導電性ガラスです。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
(FTO:フッ素添加酸化スズの膜が乗っています) pic.twitter.com/jg7NucfEl5
透明導電膜というのは文字通り透明かつ導電性のある材料でできた膜です。ディスプレイや太陽電池等の光を通す必要がある部分の電極として用いられています。
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インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)等の酸化物(In₂O₃, Sn₂O, ZnO)はバンドギャップが3 eV開いている半導体なので透明であり、なおかつ特になにもしなくても導電性があります(主に酸素欠陥によりキャリアが発生していることによる)。
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透明導電膜の材料はIn₂O₃, Sn₂O, ZnOを基本骨格にしていることが多いです。代表的なのはITO(スズ添加酸化インジウム)で、液晶ディスプレイの透明導電膜材料はほぼ100%これです。In₂O₃はそれだけで導電性を持ちますが、スズを添加することで導電率を高めています。
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ITOのTはtin: スズです。
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私は昔、Tをチタンと間違えていました。
ISOじゃないのは工業規格と被るからですかね?
ITOは他の透明導電膜材料に比べて抵抗率がダントツで低く、また耐薬品性がちょうどよく加工性が良いという特徴からディスプレイに使われています。
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耐薬品性に関しては、ZnOはどんな酸・塩基にも溶解するほど弱く、逆にSn₂Oは耐薬品性が強すぎてエッチング加工の方法が限られます。
ディスプレイではITO1択なのですが、アモルファスシリコン太陽電池用の電極ではITOは使いにくくなります。それはアモルファスシリコンが還元性雰囲気のプラズマ中で成膜されるため、ITOが還元されてしまうからです。そのため、太陽電池では酸化スズ系のFTOが用いられます。
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ところで、透明であることと導電性であることは、基本的には相反することです。導電性があるということは電気を伝導するキャリア(自由電子)が多数あるということですが、自由電子は光により振動して光を反射します。このため金属は光沢を持ちます。
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透明導電膜が透明であるのは自由電子の濃度が抑えられていることによります。自由電子の濃度が2×10^21を超えると金属光沢を持つようになるので、透明導電膜材料の自由電子濃度はこれ未満が限度になります。
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@Hisan_twi 単位を書き忘れました。正しくは2×10^21/cm^3です。
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