薄膜トランジスタ(TFT) [電子デバイス]
薄膜トランジスタ(TFT)
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月2日
液晶ディスプレイの画素ごとに印加する電圧を制御するための素子です。材料にはアモルファスシリコン(a-Si)、もしくはa-Siをレーザーで加熱して結晶化させたポリシリコン(pc-Si)が主に用いられています。
TFTは液晶パネルの各画素の各色、RGBで3色なので1画素につき3個(もしくは倍の6個)形成されています。図は液晶パネルの1画素の1色分の区画の駆動部分を表した模式図です。TFTは透明電極に加える電圧を制御します。 pic.twitter.com/NU7apIecgL
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月2日
a-Siやpc-Siは不透明であるため、TFTが形成された部分は光を遮ってしまいます。そのためTFTはできるだけ小さい方がディスプレイの輝度が高くなります。しかし、単純にTFTを小さくすると抵抗が大きくなるため、消費電力が大きくなってしまいます。
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ちなみにSiに直接光が当たると光電効果によりゲート電圧を印加しなくてもTFTがONしてしまうので、これを防ぐためにTFTには光が当たらないように工夫されています。
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TFTの抵抗は線幅と材料の移動度で決まります。a-Siは移動度がせいぜい1 cm²/Vsなので抵抗大きくなります。レーザー照射により加熱して結晶化させpc-Siとすると移動度100 cm²/Vsのオーダーになるため線幅を小さくできます。
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最近ではシャープがIGZO液晶を製造しています。秋月電子通商でも買えると話題ですね:https://t.co/uVuAl4VCpM
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IGZO液晶ではTFTの構成材料がシリコンからIGZOに置き換えられています。
IGZOはインジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn))酸化物(Oxide)の頭文字で、これらの元素でできた透明酸化物半導体です。この材料は透明酸化物半導体の中では電子の移動度が比較的高く、なおかつ電子濃度の制御性が良いことが特長です。
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ほとんどの透明酸化物半導体は酸素空孔ができやすく、不純物を添加しなくても導電性をもつため、高抵抗率に制御できないという欠点があります。IGZOをそれを克服しており、それにより高抵抗/低抵抗の切り替えが良くなっています。
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IGZOがシリコン系のTFTに比べて優れているのは、バンドギャップが大きいためTFTがOFF時に流れてしまう電流(リーク電流)が少ない点です。a-Siもpc-Siもバンドギャップがあまり大きくないため、熱によりごく一部の電子が励起されてOFF時にも少しだけ電流が流れてしまいます。
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シャープが製造しているIGZOは結晶性のものですが、IGZOはアモルファス性のものでも高い電子移動度を維持できます。これはシリコンが結晶の乱れによってアモルファスにすると移動度が大きく低下するのとは対照的です。
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IGZOがシリコンと違ってアモルファスでも高い移動度を維持できるのは、伝導帯に寄与する陽イオンの空の電子軌道の重なりが大きいためです。共有結合とイオン結合の違いがよく出ている現象ですね。
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トランジスタといえばp-n-p(もしくはn-p-n)構造が思い浮かぶのですが、TFTではpn接合は形成せず、高抵抗のi型(イントリンジック型)を活性層に用いることが多いです。特にIGZO等の透明酸化物半導体はp型にすることが難しいのでpn接合はまず形成しません。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月2日
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