原子軌道 [電子物性]
電子材料の特性は物質の電子構造がどのようになっているかで決まります。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月26日
これを理解するために、まずは物質の構成単位である原子の中では電子がどのように存在しているかを理解する必要があります。
原子中の電子のふるまい、原子軌道を考えるには、まず、最も単純な水素原子をモデルとして考えることから始まります。電荷eを持つ陽子に対し、距離rだけ離れた位置の電子(電荷:-e)はクーロン引力を受け、ポテンシャルVを感じます。(図参照) pic.twitter.com/YWFgBUe1Gj
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電子は波の性質を持っていまして、単純な粒子として考えては矛盾する現象が見られます。なので単純な2体問題であっても、惑星の運動と同じようには解けません。そこで有名なシュレディンガー方程式により記述されます。
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シュレディンガー方程式には、Vに求めたい電子が感じるポテンシャル(水素原子の場合にはクーロンポテンシャル)を代入して解けばよいわけです。水素原子の場合、解き方は複雑ですが、大抵の量子力学の教科書に載っています。解は画像の通りです。 pic.twitter.com/p6tzJngQK3
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波は閉じ込めると、その両端の間の距離の整数倍でしか定在波が立たなくなります。電子も波ですからこの性質があります。シュレディンガー方程式の解(波動関数)での量子数というのが波の『整数倍で』にあたる部分です。
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シュレディンガー方程式の解である波動関数φは実はそれ自体では意味を持ちませんが、波動関数の2乗は電子の存在確率密度を表します。それを図にして表すと、電子は陽子の周りに朧げな位置に存在しているのがわかります。これを電子雲と呼びます。 pic.twitter.com/hRPnvrRCWj
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主量子数nが増えると電子の分布がは陽子から外側に離れていきます。画像はn=2およびn=3でl,mが0のときの電子雲です。分布の色は、黄色が波動関数で正、青は波動関数で負であった部分を表します。 pic.twitter.com/WhzZ0vBFiv
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主量子数が一つ増えるごとに電子雲の動径方向で節が一つ増えていることがわかります。このとこから、主量子数は動径方向に伸縮する振動の振動数に対応していることがわかります。
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次に方位量子数について考えます。画像はn=3,m=0でl=1およびl=2のときの電子雲です。l=0の時に比べ、形が大きく変わり、方向性をもつようになります。したがって方位量子数は電子の軌道の方向を決める数であることが分かります。 pic.twitter.com/z3YRU0aapr
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さらに、電子雲の形状から、方位量子数が一つ増えるごとに、θの回転方向で節が2つずつ増えていることがわかります。つまり、方位量子数はθ回転方向の振動の振動数に対応した数でもあります。
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磁気量子数は角運動量が関わってきて厄介なので詳しくはまた別のまた機会に。磁気量子数は球面調和関数の指数関数部分、exp(imϕ)としてでてきますので、磁気量子数はϕ方向の振動数に対応しているといえます。
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さらに量子数について
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主量子数n=1,2,3,...は高校理科で習うK殻,L殻,M殻,...に対応しています。
方位量子数l=0,1,2,...の軌道はs軌道,p軌道,d軌道と呼ばれます。
さらに主量子数について
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電子の動径方向の平均位置は主量子数のみで決まり、エネルギーは1/n²に比例します。n=1のときが最も安定した状態であり、これが基底のエネルギーになります。 pic.twitter.com/Zz70HUvK2a
n=1のときのエネルギーは-13.6 eVで、これは水素第1イオン化エネルギーの値と一致します。
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水素原子で求めた電子の軌道の理論は、ヘリウム以上の原子番号の原子に対してもほぼそのまま使えます。2個目、3個目の電子が出てくることで電子同士のクーロン斥力が働きますが、陽子も同じ数だけ増えた影響で電荷遮蔽されるため、クーロン斥力の影響は非常に小さくなるのだそうです。
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