ガリウムリン(GaP) [半導体材料]
ラブライブ!の星空凛と、半導体のガリウムリン。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月3日
色が完全に一致です。 pic.twitter.com/1M2rAVlx9x
ガリウムリン(GaP)は他の多くのIII-V族半導体と同じ閃亜鉛鉱型の結晶構造をしています。2種類の原子で構成されていることを無視すれば、シリコンのダイヤモンド構造と同じ原子配置の結晶構造型です。 pic.twitter.com/4kNLzDGEeg
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月3日
GaPのバンドギャップは2.26 eVで、緑色の波長に相当します。III-V族半導体の中では珍しく間接遷移型半導体です。SiやGeなどは間接遷移型半導体であるため発光しにくいのですが、GaPは間接遷移型半導体なのに発光効率が高いという特異な特性を持っています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月3日
間接遷移型半導体は価電子帯の頂点と伝導帯の底の波数位置が一致しないためフォノンを介さないと遷移できないのですが、間接遷移する確率は低いため、間接遷移する前に欠陥を介して非放射で再結合してしまいます。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月3日
GaPが間接遷移型半導体でありながら発光効率が高いのは、電子遷移に不純物の準位を利用するためです。例えば窒素(N)をドープすると伝導帯のすぐ下にNの準位ができます。伝導帯の電子はこのNに捕らえられます。 pic.twitter.com/VOllnvK4xD
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月3日
GaP中のNの準位は波数空間で広がっており、電子はこの準位を介して価電子帯の頂点と同じ波数で放射遷移することができます。これによりGaPは直接遷移型半導体と同程度の発光効率で発光させることができます。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月3日
GaPにドープする不純物の種類により発光する波長を変えることができます。不純物の原子は1種類でなくてもよく、原子のペアで作用する場合もあります。Nドープでは565 nm(黄緑色)、ZnとOのドープでは700 nm(赤色)の光を放出するため、これらはよくLEDに用いられています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年4月3日
ネッキング [半導体材料]
これは単結晶シリコンのインゴットの一部。上の方は種結晶で、引き上げの起点となり、成長する結晶の方位を決める部分です。下の方は結晶の引き上げ始めの部分で、結晶中の転位を無くすために種結晶より細く絞られています(ネッキングといいます)。 pic.twitter.com/5G8ERnvpIb
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月28日
ネッキング
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月28日
種結晶を融液につけたときに熱応力により結晶中に線欠陥である転位を生じます。線欠陥であるため、続いて成長する結晶にもそのままの方向に向かって転位が入ります。転位は表面に達するとそこで止まるので、細く絞って転位が早く表面に抜けるように工夫しているのです。
転位は結晶の滑り方向に伸びる性質があります。シリコンの場合は<110>方向が滑り方向です。結晶面(100)及び(111)では<110>は斜め下方向になるため転位は成長につれて外側に伸びて表面に達します。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月28日
(110)面の結晶面では結晶成長方向と滑り方向が一致してしまうため、ネッキングしても転位が残ってしまい、インゴット中を下まで貫いてしまいます。(110)面のシリコンウェハーの流通が少ないのはこのためです。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月28日
ダイヤモンド半導体 [半導体材料]
高級な宝石として知れているダイヤモンドですが、電子デバイスの材料としても期待されている材料なんです。ダイヤモンドはバンドギャップ5.47 eVの間接遷移型の半導体で、電子移動度と熱伝導率が高いことが特長で、パワーデバイスや高周波デバイスへの応用が研究されています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
ダイヤモンドはシリコンと同様にホウ素(B)ドープでp型、リン(P)ドープでn型の伝導型を示します。ホウ素を高濃度にドープすると青色を呈色します。青色のダイヤモンドは天然にも産出し、その希少さ・美しさから価値が高まります。ちなみに窒素がドープされると黄色に呈色します。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
合成ダイヤモンドの結晶成長は高温高圧の環境を必要とします。ダイヤモンドの合成技術が開発された当初は結晶成長に必要な時間が長すぎて工業生産にのらないほどでしたが、近年では一辺が数cmの比較的大きな単結晶が生産されています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
ダイヤモンドの薄膜の成長にはマイクロ波プラズマCVDが用いられます。メタン(CH₄)等の有機物の気体をマイクロ波プラズマにより励起された水素により還元して堆積します。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
2011年に産総研で作製されたダイヤモンドトランジスタの記事:
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
産総研:世界初の電力増幅作用を持つダイヤモンドトランジスタ https://t.co/jeGmZMeCNO @AIST_JPさんから
ダイヤモンドはワイドギャップ半導体ですが、間接遷移型半導体のため光の発光・吸収の効率は基本的に低いのですが、それでもLEDが10年も前に開発されています。同じく産総研の発表記事からです。https://t.co/lymXwewciA @AIST_JPさんから
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
現在ではダイヤモンド深紫外LEDの実用化の動きは無く、深紫外LEDの材料としてはAlGaNが本命となっていると思います。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
ダイヤモンド半導体の実用化において大きな問題となるのが加工性の悪さです。ダイヤモンドは天然に存在する物質で最も硬く、化学的にも安定であるため、研磨加工が困難です。研磨に必要な時間はシリコンの数千倍、SiCの数百〜千倍といわれています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
同じく高硬度でワイドギャップ半導体であるSiCやGaNは実は化学的に弱い部分があって、SiCではC面、GaNではN面が酸化に弱く、それゆえ化学反応を援用した研磨加工が可能です。ダイヤモンドも酸素が弱点なのですが、なんらかの作用による励起が必要です。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月19日
方位面とキャリアの移動度 [半導体材料]
集積回路用のシリコンウェーハの方位面は(100)のものが多く用いられます。これは電子の移動度が(100)面で最も高くなるためです。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月15日
参考:https://t.co/mBAWlDebNk
電子の移動度は(100)面が高いのですが、ホールの移動度は(110)面の方が高くなります。このことから、n-MOSFETには(100)面を、p-MOSFETには(110)面を用いるとそれぞれ最も性能の良いMOSFETを作ることができることがわかります。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月15日
CMOSの集積回路ではp-MOSFETとn-MOSFETが一対で一つの要素になるため、単一の基板にpn両方のMOSFETを作ることになり、普通は(100)面を用いるのでホールの移動度で集積回路の性能が決まります。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月15日
CMOSのキャリア移動度の問題を解決する手段として、東芝とIBMは(100)面と(110)面のシリコンウェーハを張り合わせて作製したDSB基板を用いる技術を開発しました。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年2月15日
リンク先はマイナビニュースの記事:https://t.co/DTw7GpS3Qk
透明導電膜 [半導体材料]
ただのガラス板...に見えますが、透明導電膜が積んである導電性ガラスです。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
(FTO:フッ素添加酸化スズの膜が乗っています) pic.twitter.com/jg7NucfEl5
透明導電膜というのは文字通り透明かつ導電性のある材料でできた膜です。ディスプレイや太陽電池等の光を通す必要がある部分の電極として用いられています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)等の酸化物(In₂O₃, Sn₂O, ZnO)はバンドギャップが3 eV開いている半導体なので透明であり、なおかつ特になにもしなくても導電性があります(主に酸素欠陥によりキャリアが発生していることによる)。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
透明導電膜の材料はIn₂O₃, Sn₂O, ZnOを基本骨格にしていることが多いです。代表的なのはITO(スズ添加酸化インジウム)で、液晶ディスプレイの透明導電膜材料はほぼ100%これです。In₂O₃はそれだけで導電性を持ちますが、スズを添加することで導電率を高めています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
ITOのTはtin: スズです。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
私は昔、Tをチタンと間違えていました。
ISOじゃないのは工業規格と被るからですかね?
ITOは他の透明導電膜材料に比べて抵抗率がダントツで低く、また耐薬品性がちょうどよく加工性が良いという特徴からディスプレイに使われています。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
耐薬品性に関しては、ZnOはどんな酸・塩基にも溶解するほど弱く、逆にSn₂Oは耐薬品性が強すぎてエッチング加工の方法が限られます。
ディスプレイではITO1択なのですが、アモルファスシリコン太陽電池用の電極ではITOは使いにくくなります。それはアモルファスシリコンが還元性雰囲気のプラズマ中で成膜されるため、ITOが還元されてしまうからです。そのため、太陽電池では酸化スズ系のFTOが用いられます。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
ところで、透明であることと導電性であることは、基本的には相反することです。導電性があるということは電気を伝導するキャリア(自由電子)が多数あるということですが、自由電子は光により振動して光を反射します。このため金属は光沢を持ちます。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
透明導電膜が透明であるのは自由電子の濃度が抑えられていることによります。自由電子の濃度が2×10^21を超えると金属光沢を持つようになるので、透明導電膜材料の自由電子濃度はこれ未満が限度になります。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日
@Hisan_twi 単位を書き忘れました。正しくは2×10^21/cm^3です。
— ヒサン@電子材料勉強中 (@Hisan_twi) 2016年1月29日